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 防衛医科大学校
 分子生体制御学講座
 Department of Integrative Physiology and Bio-Nano Medicine,
 National Defense Medical College

 防衛医大・分子生体制御学講座の公式ウェブサイトです。
 Official website for Dept. Integrative Physiol. Bio-Nano Med., Natl. Defense Med. Col.



















研究について




・「お酒の強さに関わる2つの遺伝子ADH1BとALDH2はどちらも独立した痛風リスクである」ことを報告した論文について

    我々は以前、お酒が強いかを決める遺伝子ALDH2の変異が痛風の発症と関連していることを報告しました。今回、同様の機能を持つもう一つの遺伝子ADH1Bについても、その遺伝子変異が痛風の発症と関連していることが、大規模な症例・対照研究により初めて確認されました。また、このADH1B遺伝子変異は、前回報告したALDH2遺伝子とは独立した、別個の痛風のリスクであることも確認しました。そして、ALDH2は飲酒に関係なく、痛風の発症に関与していることも示唆されました。

論文名:M. Sakiyama, H. Matsuo, et al.: Independent effects of ADH1B and ALDH2 common dysfunctional variants on gout risk. Sci Rep. (2017年5月31日オンライン掲載)

論文の解説(日本語)はこちらをご覧下さい。  

論文の詳細(英語)はこちら(オープンアクセス)をご覧下さい。



・「腎性低尿酸血症診療ガイドライン(第1版)」を策定しました

    尿酸値は、低くても問題になる可能性があります。 なぜなら、尿酸値が低い方は「腎性低尿酸血症」である可能性があるためです。 特に、尿酸値が2 mg/dL以下でありながら自覚症状がない日本人は、この疾患を持つ可能性が高いと考えられます。 この疾患自体は無症状ですが、「運動後急性腎障害(腎不全)」や「尿路結石」といった合併症があり、注意が必要です。 この疾患は、遺伝子の変異のために、腎臓における尿酸の再吸収が十分できないことが原因です。 我々をはじめとした多くの研究者の報告により、腎性低尿酸血症の原因や病態が徐々に明らかになってきました。 特に日本人に多いこの遺伝性疾患は、しかし、医療関係者内でも認知度はまだまだ低いのが現状です。
    そこで、当講座の四ノ宮教授を作成委員長として「腎性低尿酸血症診療ガイドライン」を策定しました。 このガイドラインは世界に先駆けて、日本で最初に作られたものです。 このガイドラインでは、診療の進め方や統一的な診断指針をはじめ、疫学や病態、検査や鑑別疾患、合併症などについて、全国の専門家による解説がなされています。 そして、このガイドラインは、公益財団法人 日本医療機能評価機構が運営する事業である医療情報サービスMinds(マインズ) が定めた「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」に従って作成されました。 また、患者さんのひとりである女子格闘家の方にも、ご意見とコメントをいただき掲載しております。
    この疾患を知ってもらうことにより、さらなる実態の解明に迫り、よりよい治療や予防の手段が患者さんに届けられることを目的としてます。 このガイドラインを機会として、腎性低尿酸血症の研究と臨床診療が大きく発展することを切に望んでいます。

一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会 監修版の詳細はこちらをご覧ください(ガイドラインのエッセンスについては無料でダウンロードできます)。

メディカルレビュー社のサイトはこちらをご覧ください。


今後もスタッフの研究について、順次ご紹介する予定です。

○これまでの研究報告についてのご紹介


・「臨床診断された、タイプ別に分類された痛風患者のゲノムワイド関連解析により、尿酸輸送体遺伝子を含む複数の痛風の関連遺伝子を同定した」ことを報告した論文について

    我々は以前、臨床診断された痛風患者のゲノムワイド関連解析を通じて、5つの痛風の関連遺伝子を同定していました。今回、臨床分類別のゲノムワイド関連解析を世界で初めて行い、さらに解析対象の遺伝子多型を増やすことで、さらに5つの痛風の関連遺伝子(合計10遺伝子)を新たに同定いたしました。今回同定された遺伝子には、尿酸輸送体遺伝子のほか、マグネシウム輸送体遺伝子やヒストン遺伝子が含まれていました。痛風の病気の仕組みの解明や診断・治療に役立つことが期待されます。

論文名:A. Nakayama, H. Nakaoka, K. Yamamoto, M. Sakiyama, A. Shaukat, Y. Toyoda, et al.: GWAS of clinically defined gout and subtypes identifies multiple susceptibility loci that include urate transporter genes. Ann Rheum Dis. 76, 869-877 (2017). (2016年11月30日オンライン掲載)

論文の詳細(英語)はこちら(オープンアクセス)をご覧下さい。



・「URAT1/SLC22A12遺伝子の機能消失型変異が血清尿酸値および痛風・高尿酸血症の発症に与える影響」を報告した論文について

    尿酸トランスポーター遺伝子URAT1/SLC22A12は腎性低尿酸血症1型の原因遺伝子として知られています。本研究では、URAT1/SLC22A12遺伝子の尿酸輸送機能消失型変異(W258X及びR90H変異)が痛風・高尿酸血症の発症に保護的に働くことが、大規模な症例・対照研究により確認されました。また変異の個数によって血清尿酸値がどの程度低下するかも明らかになり、ヘテロ変異による腎性低尿酸血症の病態を考えるうえで臨床医学上重要な知見が得られました。さらにその血清尿酸値低下の程度が男女によって異なることから、血清尿酸値の男女差の形成にURAT1/SLC22A12が大きく関与していることも明らかになりました。

論文名: M. Sakiyama, H. Matsuo, et al.: The effects of URAT1/SLC22A12 nonfunctional variants, R90H and W258X, on serum uric acid levels and gout/hyperuricemia progression. Sci Rep. 6, 25360 (2016). (2016年1月29日オンライン掲載)

論文の詳細(英語)はこちら(オープンアクセス)をご覧下さい。



・「パーキンソン病と痛風の発症年齢に対する痛風遺伝子ABCG2の対称的な影響」を報告した論文について

    尿酸は神経保護作用があり、パーキンソン病の発症を遅らせることが考えられていました。また、痛風遺伝子ABCG2の変異は痛風の発症を早めることが分かっていました。そこで、痛風遺伝子ABCG2の変異と痛風及びパーキンソン病との関連を調べたところ、ABCG2の変異はパーキンソン病の発症を遅らせることが分かり、尿酸の神経保護作用(予防的作用)に起因することが示唆されました。

論文名: H. Matsuo, H. Tomiyama, W. Satake, T. Chiba, et al.: ABCG2 variant has opposing effects on onset ages of Parkinson's disease and gout. Ann Clin Transl Neurol. 2, 302-306 (2015). (2015年1月19日オンライン掲載)

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・「尿酸輸送体NPT1の機能獲得型変異が腎排泄低下型痛風のリスクを低下させる」ことを報告した論文について

    尿酸輸送体NPT1/SLC17A1の遺伝子変異が尿酸値に影響することは分かっていましたが、痛風との関連については相反する研究成果が出されていました。本論文では、NPT1がヒトの腎臓の近位尿細管に存在する尿酸排泄輸送体であることを証明しました。同時に、NPT1において、頻度の高い機能獲得型変異は痛風全体の発症リスクには関与が認められませんでしたが、一方で、痛風の一分類である腎排泄低下型痛風のリスクを低下させ、保護的に作用することが分かりました。

論文名: T. Chiba, H. Matsuo, Y. Kawamura, S. Nagamori, et al.: NPT1/SLC17A1 is a renal urate exporter in humans and its common gain-of-function variant decreases the risk of renal underexcretion gout. Arth Rheumatol. 67, 281-287 (2015). (2015年1月掲載)

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○過去のお知らせ   

・2014年10月15日~18日 第87回日本生化学会大会(京都)のセッション「疾患マーカーの探索と利用(2F07)」(10月16日(木)14:00~16:00)の要旨及び自由討論の議題についてはこちらからダウンロードできます。