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防衛医科大学校 |
防衛医科大学校
分子生体制御学講座 教授
四ノ宮 成祥
<講座設立の趣旨>
分子生体制御学講座は、医学科の講座に新しい学問分野への対応を行うことを目的に、平成18年(2006年)3月30日に創設されました。以来、当講座は“生体を分子レベルで理解し制御に繋げる”という先端基礎医学の時代的ニーズに対応するために、生体や細胞機能の解析・計測・制御を主眼に教育・研究を行い、基礎医学の知見を臨床応用に繋げる橋渡しを行う活動を展開しています。本講座の欧文呼称がDepartment of Integrative Physiology and Bio-Nano Medicineと定められていることからもわかるように、生命の機能を細胞、臓器、個体レベルで理解し、分子生物学やナノテクノロジー等の先端科学技術を駆使して生理学的理解を深める学問分野を担っています。
<防衛医学研究の学内拠点としての位置づけ>
当講座は、防衛医科大学校内の基礎医学講座として、防衛省・自衛隊の医療衛生活動に寄与する教育・研究を行っています。しかし、それだけではなく、我々の活動が国民の健康増進や医療の発展、安全・安心などにも寄与するよう、幅広い活動を行っています。我々が「防衛医学」と呼んでいる医学研究分野は、基礎医学の知の上に臨床医学の経験を加味し、それらを発展させた上で医療面から安全保障を支え、ひいては国民の健康に安心を与える科学を指しています。当講座は、学内における防衛医学研究の拠点として多様な活動を展開いています。また、学外の多数の大学・研究所と連携し、着実な成果を目指した研究活動を行っています。
<イノベーションと研究成果の発信>
我々は、基礎医学の研究基盤をもとに自衛隊の衛生・医療に貢献できる技術や情報を生み出すのみならず、広く国民も利用できる形での知を提供するための研究活動を推し進めていきたいと考えています。例えば、健康診断によって得られた基礎情報と遺伝子解析を駆使し、代謝疾患や成人病の予防につなげる試みを行っています。この仕事は、個人個人のニーズに応じた医療情報の提供や健康促進法につながるイノベーションとして期待されています。また、がんに対する先進治療技術の開発として、ナノ技術を利用した新たな抗がん治療の試みや薬剤開発なども手掛けています。さらには、先進生命科学技術動向の解析や評価を行い、バイオセキュリティなど安全保障面から国際的な活動も行っています。これらは着実な研究成果を生みつつあり、国内外に向けてその成果が発信されています。
<学生・若手医官の研鑽の場>
当講座は、学生や若手医官への教育機会として、「基礎医学・臨床医学の両面を理解して生体制御につなげていこう」という応用的な学問体系を学ぶ場を提供しています。そして、生体の仕組みや多様な疾患を分子基盤から考え、臨床病態の理解につなげるトレーニングをしています。このような姿勢は、“from bench to bedside”の概念を具現化するトランスレーショナルリサーチ領域の開拓につながります。分子病、遺伝病、悪性腫瘍など遺伝子の異常を基盤とする疾患の理解を通し、分子標的による新たな診断法やテーラーメード治療の開発にも目を向けています。 当講座での教育の機会を通して、自衛隊衛生や国際貢献活動の基盤となる基礎医学的事項について、自ら企画・実行できる研究能力の養成も目指しています。
<未来に向けて>
当講座は、個性豊かな多様な人材が未来の発展を支える鍵だと考えています。多くの方々との研究活動、対話や情報交換などを通して、教育・研究交流の場として機能し続けたいと考えています。論語にある「学びて時に之を習う 亦説ばしからずや。朋有り遠方より来たる 亦楽しからずや。」の精神を具現化する講座として 、これからも活動を続けます。